ある日。

今は漫画やグッズが多くなって本売場自体が減ってはいるが、当時は一階から三階まで本売場でほとんど漫画は取り扱っていなかった。

貧乏だった私は、ほぼ週に三日以上帰り道によって好きな時代劇小説の立ち読みをしていた。(金が溜まったら買う)。 さて、そんなある日。
立ち読みの途中でトイレに行きたくなった私は女性用トイレで用を足し手を洗って出た。 すると闇金の相談、向かいの男性用トイレから中年の女性、早い話がオバサンが大声で笑いながら出てきた。
私は思わず自分が男性用トイレに入ってしまったのかと思い振り返って確認をした。 もちろん、私のほうが女性用トイレである。 入れ替わるように入ろうとした男性が私に聞いてきた。 「君、女子トイレ混んでいるの?」 「いえ、ガラガラに空いていますよ」 その男性の目がこんな風に語っているようだった。 『今の女性の貞操観念はどうなっているのだ?』 『同じ女性として恥ずかしいです』 私もその男性に心と目で訴えた。